とろけるトラのパンケーキ

文字だけです。6月は更新控えめです

「夢百夜」文字回です。過去作は夢百夜カテゴリにまとまっています

夢百夜説明
・夢オチ?です
・一話読みきりです。何処からでも読めます
・百夜なので百本描いたらおしまい




夢百夜 七晩 「くるくるまわる」


「我々の部隊はジャングルの奥地に踏み込み、ついにこのトラを捕獲することに成功した」

 そう言って、探検隊の隊長は大きなヤシの木を指した。ヤシの幹には見事な縞模様の大きなトラが縄でつながれている。

「ご苦労様です探検隊長、あとは私、精製担当にお任せください」

「うむ、では我々は先に行って待っているとしよう」

 探検隊の隊員たちはとてもいい仕事をした。こんなに大きな本物のトラ、私は初めて見る。
私の仕事は「トラ精製加工担当」。これからこのトラをバターへと加工し、パンケーキを作り食べる。それこそ、私たちが命を賭けて目指していることだった。
私は早速トラをバター製造マシンへ入れた。マシンといっても特別なものではない、真ん中に一本棒の立っている密閉された小部屋で、トラをこの中でぐるぐる高速回転させる。するとトラはとけだし、美しい黄色のバターになるのだ。
私はマシンの外から、トラの目の前にニワトリを設置する。トラがニワトリに手を出そうとしたら遠ざけ、また手を出したら遠ざけ、トラにニワトリを追いかけさせてぐるぐる回すのだ。

「さあ、回れ、回るんだ!」

 どうしたことか、トラはコッコッコッと鳴いているニワトリを目の前にして、ピクリとも動かない。ニワトリが悪いのかと思い、ウサギを置いてみたが効果はなく、ソーセージ、ハム、ベーコン、スパム、果ては野菜サラダまで試してみたが、トラは全く動かない。

「ええい! 動かないからどうしたっていうんだ! こんな所で、こんな所であきらめるわけにはいかない!」

 とろける黄色いバターが輝くふわふわのパンケーキを食べるため、すでに皿とフォークが準備されている時間だ。バターがなければおいしいパンケーキを作ることができない。みんなの期待を裏切るわけにはいかない。何としてもバターを作らなければ。
 私は緑色のパラソルを持ち、バター製造マシンの中へ入った。さっぱり動かない怠惰なトラを、このパラソルで後ろからつついてやる。
 私がつつこうとしたその時、今までちっとも動かなかったはずのトラが私めがけて飛びかかってきた。

「あっ!」

 間一髪、体をかじられることはなかったが、トラが腰のベルトに噛みついて離れない。必死に逃げてもトラは後ろからついてくる。
 トラを引きはがさなくては、私は懸命に抵抗して、トラの尾を捕まえると力任せに引っ張った。トラは大きな唸り声をあげ、なおも私に噛みつこうとする。私は噛まれまいと尾を引っ張って逃げる。


 逃げる逃げる逃げる逃げる逃げる逃げる逃げる逃げる逃げる逃げる逃げる逃げる逃げる逃げる逃げる逃げる逃げる逃げる逃げる逃げる逃げる逃げる逃げる逃げる逃げる逃げる逃げる逃げる逃げる逃げる逃げる逃げる逃げる……


 一本の棒を中心に、私とトラはくるくるくるくる回り続けた。もはや足の感覚はなく、高速で回り続けるその様子は、テールランプが尾を引くように、トラの美しい黄色に染まった。
 ついに回転速度は最高点に達し、トラのバター化が始まる。あまりにも速いスピードで回りすぎたせいだろう、もう私の体とトラの体の区別がつかない。トラはしましまが無くなり、だんだんと輪郭がぼやけ、とろり、とろりと黄色が広がって……

 キンコーン

 製造マシンのベルが鳴る、バター化が完了した合図だ。マシンの扉があく、そこには放り出された緑のパラソルと黄色の海が広がっている。私とトラの姿はどこにも見当たらない。


 必死に回り続けた私の体は、トラと一緒にとろけ合い、最後はバターになっていた。


 そんな夢を見た次の日、私は友達と流行りのパンケーキ屋へ来ていた。緑色のパラソルが並ぶオープンカフェで、入り口にはソテツの植えられた鉢が置かれている。一皿食べるのに最低でも千円必要なその店は、店に入るまでに四十分並ぶことになった。
 落ち着いた風合いで統一された店内、最初に出された水には、薄切りのレモンとバーブのパックで香りがつけられている。
 注文したバターミルクパンケーキがやってきた。この店自慢の一品で、友達の注文したプレートにはオムレツとスパムとサラダが、私のプレートにはゆるめに泡立てた生クリームと季節のフルーツソース、はちみつを混ぜたメープルシロップが添えられている。
 おいしかった。たかがパンケーキと侮っていたのは間違いだった、ふわっふわでふわふわでふわふわで、もうとにかくふわふわ、家で作るのと大違い、どうしたらこんなに膨らむの、ふわふわ。

「やっぱり作り方も違うんだろうけど、良いバターを使ってるからこんなにおいしいんだろな」

 探検隊のみんなが必死になってトラを捕まえに行った気持ちがよくわかる。きっとトラのバターを使ったパンケーキも、ふわふわでおいしい至高のパンケーキになるのだろう。おいしいパンケーキ作るには、バターは必要不可欠だ。
 私が一人で納得していると目の前の友人が笑った。

「あ、もしかして『バターミルク』のことバターを混ぜたミルクだと思ってるでしょ」

「違うの?」

 首をかしげる私に、ふふふ、と友人は得意気な顔になる。

「バターミルクって、”生クリームからバターを作った後に残ったミルク”のことなんだよ。だからバターは入ってないの!」






コメント返信
荒ぶるプリンさん
subaru1.jpg

魚眼レンズパースとか複雑だけどかっこいいです

君の姿は君の声です

夢百夜説明
・夢オチ?です
・一話読みきりです。何処からでも読めます
・百夜なので百本描いたらおしまい

夢オチマンガを百本描きたくて始めたシリーズ
ギャグともシリアスとも言えぬ、もにょもにょテイスト

夢百夜 五晩 「でんわごし」

yumehyaku5y1.jpg
yumehyakuya5y2.gif

そう信じているの

    夢百夜 三晩 「寿留女」
yumehyaku3y.gif
スルメはあぶってマヨネーズつけて食べるとおいしい

夢百夜説明
全部夢オチ(?)です
百本描いたら終わりです
カテゴリの「夢百夜」を見ると他のが見れます

おまけ、合作人外ラクガキ
irikonodesu.jpg
仲田静のブログなのに仲田静の落書きじゃないです
友達のいりこさんに「人外描けば良いよ」って言いまくったらかいてくれたもの
でも描き欠けだったので仲田静も描き足し、合作ラクガキになりました

左の爬虫類君は仲田静が「めっちゃイケメンじゃねぇか!」
と勝手にハッスルして胴と下半身を足した
右のハルピュアイさんは「羽かけない」と、いりこさんが言うので
仲田静が羽、のっぺらぼうだったので顔も描き足し、つるつるだったので毛羽立たせた



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二日で十五時間睡眠

やっとおわったあああああああ!
ちょっとしたコンクールに応募してきた!
締切19日だったのに書きはじめたのが19日になってからってどうすんだ
でも間に合わせたよ、頑張ったよ
もともと構成や内容は考えてあったから打つだけだったけど…
それにしても仲田静が提出するのが遅かったからかもしれないが
応募箱からっからだったぞ、応募人数大丈夫か?大丈夫だ(賞金目当ての自分的には)問題ない
でも30日にも別の応募が待っている応募すんぞ!賞金のために!

つーわけで
今回の更新は夢百夜の四夜目です
三夜目はすでにマンガで描いてる途中なのでもうチョイ待って!
てかこれ↑のに応募しようと思ってた文章で
規定文字数にどう頑張っても足りそうになかったから没ったやつです
ちょうどオチが夢オチだったのでもったいないから夢百夜にする
夢オチ好きだな仲田静!

文章だけなんで読みたい人だけ続きからどうぞ!
夢百夜 四晩 「なれあい」

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空を飛んでみようか

              夢百夜 二晩 「飛ぶ」

         yumehyaku2y1.jpg













          yumehyaku2y2.jpg



夢百夜、一回目にするの忘れてたから二回目にする説明

・全部落ちは夢オチです
・一話読みきりです。何処からでも読めます
・百夜なので百本描いたらおしまい

夢オチマンガを百本描きたくて始めたシリーズです
ギャグともシリアスとも言えぬ、もにょもにょテイストをお楽しみください

最近エロイもんが足りん、なんかこう
えげつないけどハートにガツンと来る感じが欲しい!
即物的な物はいらないんじゃーい!
ときめかせろあほーう!

中華麺…中華麺食べたい…タンタン麺…
しこしこにゅるにゅるする中華麺が食べたい
プロフィール

仲田 静

Author:仲田 静
なかた しず
むっつり系マンガオタク

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